海外の企業で給与のデジタル払いを行い、一時ニュースにもなったこちらの話題。
ついに日本でも法律としてOKになるようです。
もう既に多くのメディアで取り上げられているこちらの話題についてですが、どの程度内容をご存知でしょうか?そしてどの程度、「給与のデジタル払い」に関心があるでしょうか?
今回の記事では、労働者側と雇用主側両方の意識についてをまとめたレポートをご紹介していきたいと思います。
あなただったら給与はどの方法でもらいたいですか?
- 現金手渡し
- 銀行振込
- デジタル払い
- 銀行振込+デジタル払い
- その他
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デジタル給与とは?
デジタル給与は一言で表すと下記のようになります。
「給与を決済アプリや電子マネーを使って支払われる(支払う)こと」
まだまだ日本においては普及はしていませんが、いまではお小遣いやお年玉、お金の貸し借りをPayPayなどの決済アプリを使用している方も多くイメージはしやすいのではないでしょうか?
従来は給与を現金で手渡しか銀行口座への振り込みかのいづれかでの支払いとなっていました。
給料日である25日なんかはATMが行列になっている光景はよく見ますよね。
一方でデジタル給与は電子マネーでの支払いのため現金では受け取れません。使用する際は、オンラインで代金を移動する形となります。
デジタル給与がはじまる!?
なぜこのデジタル給与というワードが露出してきたのかというと…。
政府が給与のデジタル払いを解禁したからです。
2022年10月26日、厚生労働省の労働政策審議会分科会が、給与をデジタルマネーで支払う制度の導入を盛り込んだ労働基準法の省令改正案を了承しました。
これにより2023年4月から労働者側の同意がある場合などに限り、企業側がデジタルマネーでの給与支払いが可能となりました。
もちろん強制ではないので従来通りの方法で給与を受け取ることも可能です。
なぜここにきて給与をデジタル払い可にしたのか?
なぜ政府は給与のデジタル払いを推進しているのでしょうか?
主な理由としては以下のとおりです。
- キャッシュレス化の推進
- 外国人労働者の受け入れ推進に向けた施策の一環として
- フィンテックをはじめとした金融サービス提供の拡大及び国際競争力の強化
- 一定のニーズがある
最も大きい理由はやはりキャッシュレス化の推進です。
日本のキャッシュレス化は確実に進んでいますが、世界的にみるとまだまだです。
隣国である中国では7割や韓国では9割以上の決済がキャッシュレス化しているとも言われています。
一方で日本は全ての決済のうちキャッシュレス決済が占める割合は良くて3割程度。現状、先進国の中で遅れている状況で政府が介入する必要が大いにあります。
また現金による決済は意外とコストが掛かります。
- ATMからお金を引き出す際の手数料
- クレジットカード決済の際に事業者がクレジットカード会社に支払う手数料
- レジ現金残高確認作業のコスト
- 現金の輸送コスト
これらは一部に過ぎませんが、現状の現金での決算インフラを維持するために年間で1兆円を超えるコストが発生しているとのことです。
これらのコストが経済活動を鈍化させている要因の1つと考えられており、経済活動の活性化、インバウンド消費の拡大などを実現するためにも政府はデジタル給与を解禁しているとも言われているようです。
もちろんその他にもいろいろな要因や考えがあってのことだと思われます。
給与のデジタル払いにまつわる調査〜社員側〜
調査概要
■調査名
『マネーフォワード ME ご利用状況とお金の意識調査』
■調査元
株式会社マネーフォワード
※コーポレートサイト:https://corp.moneyforward.com/
■調査対象
お金の見える化アプリ『マネーフォワード ME』利用者(回答者数9,727名)
■調査方法(期間)
インターネット調査(2022年10月19日~10月25日)
こちらの調査は、株式会社マネーフォワードが行った「お金についての意識調査」です。
2022年の家計状況や、物価上昇・円安が進んだ中でのお金にまつわる変化、給与デジタル払いや投資、キャッシュレス決済など、日々の生活に関わるお金のテーマについて調査しています。
デジタル給与「利用したい」は25%
こちらは「実際に給与のデジタル払いが導入されたら利用したいか?」の結果となります。
結果は75%とほとんどの方が「これまで通りがよい」を選択するという結果となりました。
日本人の現状としてまだまだ現金決済を行う方も多いかと思いますし、そもそも引き落とし口座に現金を入れておかないと…。という方も多いのではないでしょうか?
まだまだ日本には給与のデジタル払い自体が浸透していませんし、柔軟な対応が求められそうだという結果になりました。
キャッシュ利用者はほぼ100%
こちらは「日々のキャッシュレス決算の利用状況およびその理由」を訊ねた結果となります。
今回の調査はそもそもキャッシュレス決済を多く利用していそうなマネーフォワード利用者においての調査結果ではありますが、ほぼ100%の方がキャッシュレス決済を利用しているという結果となりました。
PayPayなどの影響もあり、急激に進んだバーコード決済をですが、その魅力はスムーズな決済とポイントやマイルが貯まるというところにあるようです。
現金を出すことが面倒という回答も多いですね。
今回の調査ではキャッシュレス決済をが進んできているという結果が分かったと同時にまだまだ現金決済への依存度も高いことがわかりました。
ただ世の流れ的にはどんどんとキャッシュレス化しているため数年後には「給与のデジタル払い」がノーマルという世界ができているかもしれません。
【番外編①】物価上昇や円安の波は「日々の食事」へ影響
「物価上昇・円安という状況において増えた・減ったと感じる支出について」訊ねた結果となります。
「増えた」支出を確認してみると、最近値上げがされている代表例である食と水道・光熱費であることがわかります。
一方で「減った」支出については、トップが外食費となっています。そして交際費、趣味・娯楽費と続き、生きていく上で我慢できるものが減っているという結果のようです。
気になるのは、「外食費」です。
どちらにもランクインしています。外食を行う頻度が減っているが金額的なところで考えてると増えていることでしょうか。
【番外編②】冬のボーナスの使い道、第一位は「貯金」
多くの企業で12月頃に冬のボーナスがありました。その際の使い道について訊ねた結果となります。
トップは「貯蓄へ回す」でした。
2位は「投資へ回す」でしたので多くの方がボーナスを自分の資産として残す選択肢を選んでいることが分かります。
今回の記事では「給与のデジタル払い」について触れており、その背景の1つとして経済活動の活性化がありましたが、それには程遠いような結果となりました。
『マネーフォワード ME ご利用状況とお金の意識調査』はこちら
給与のデジタル払いにまつわる調査〜企業側〜
調査概要
■調査名
『給与のデジタル払いにおける企業の検討状況』
■調査元
株式会社Works Human Intelligence
※コーポレートサイト:https://www.works-hi.co.jp/
■調査対象
COMPANY利用中の法人・団体
■調査方法(期間)
インターネット調査(2021年2月15日~3月5日)
株式会社Works Human Intelligenceは、人事システムCOMPANYというHRサービスを展開している企業です。
そのCOMPANYを利用中の法人・団体に実施したアンケート結果をご紹介します。
デジタル給与「検討(予定含む)」は26.3%
こちらは給与のデジタル払いの検討状況についての結果です。
ほとんどの企業が「検討していないし利用の予定もない」と回答していることがわかります。
一体、後ろ向きの回答が多いのでしょうか?
あくまで1つの要因ではありますが、「給与デジタル払いを実施する場合の障壁」についての回答もあります。
最も多い回答は、「システムインフラの投資コスト」です。それ以降の回答についてもあまり差がなくつづいています。
この結果を見ると、様々な面において障壁があり、企業側にとってはメリットが少ないと感じられていることが分かります。また詳細コメントとして、「資金移動業者の選定・信用度」や「社内や労働組合への説明」、「セキュリティ面」で懸念点があるというコメントが多数ありました。
まだまだ給与のデジタル払いが進むには難しい問題が多そうです。
企業側のメリットは「銀行振込手数料の削減」?
一方で利用を検討する場合の目的にはどのようなものがあるのでしょうか?
最も多かったのは、「銀行振込手数料の削減」です。
つづいて「第2口座等と同様な従業員への便益」という結果となっています。またその他の回答として、銀行口座を持たない外国籍社員への支払いが便利になるという声も上がりました。
詳細コメントには、「従業員の希望次第で対応を検討」や「外国籍社員への口座開設までの暫定対応や謝礼支払い用途として」という理由が多く挙がっていたようです。
特に外国籍労働者は、日本で口座をつくるのに最低でも半年は経たないといけません。
現在は現金の手渡しが主流になっていますが、デジタル払いが解禁されれば選択肢としての幅が増えることになります。労働人口を増やしたいと考えている中では必要なことなのかもしれません。
『給与のデジタル払いにおける企業の検討状況』はこちら