リスキリングで年収が7%増?学び直しの効果とは?

大学などでの学び直しによって年収7%増ーー。

政府が7月29日に経済財政白書においてそのような分析データを公表しています。

以前、こちらのブログでもご紹介した「リスキリング」について興味深い結果があったのでご紹介します♪

5分くらいで読める内容ですのでぜひ!

社会人もより学びが必要な時代へ。DX時代の人材戦略最前線「リスキリング」とは?

日本の社会人教育は柔軟性に欠けるなどまだまだなようですが、現状どうなっているのでしょうか?

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リスキリングは企業戦略

リスキリングと学び直し、リカレント教育…。
どう違うかご存知ですか?

まずリスキリングがどういうものなのかおさらいです!

いま世の中が様々な変化を迎えていることに伴う働き方の変化によって、今後新たに発生するであろう業務で役立つスキルや知識の習得を目的に、勉強してもらう取り組みのこと」

これがリスキリングです。

例えば、今後以下の作業がAI技術やロボット技術が発展する中で人の手から離れていくでしょう。

  • 自動レジ
  • 事務作業
  • 量産品の製造 など

ロボットに置き換わる前は、当然ですが人の手で作業しており、ロボットが台頭することでそこで作業をしていた人は職を失うことになります。

一方、新しい業務が発生していきます。

  • ロボットをプログラミングする人
  • 自動化するシステムを管理する人 など

世の中の変化に合わせて、ある業務はなくなり、ある業務が発生するそのような流れになっていきます。

しかしながら新しい業務が発生していたとしても”知識”や”技術”などがなければ業務を遂行することはできません。

そこでリスキリングです!

リスキリングにより、新たな業務に関係する”技術”、”知識”を習得すれば、そこにいる従業員は別の新たな業務に就けるということです。

新たに人材を入れる必要がなく、人材不足やその他の経営課題を解決するための企業戦略。それが「リスキリング」なのです!

つまりリスキリングについては、企業主体の学びであり、自己投資の意味合いではなく企業の人材投資の意味合いが強いものとなります。

リスキリング・学び直しの現状

企業側としても労働者側としても労働の質を向上させていくためには、新たな技術・社会変化に対応できるような教育訓練を働きながらいつでも受けることができる環境を整備していくことが重要です。

OJTに加え、OFF-JTのニーズは高まっており、社会人の大学院進学者数が現在、増加傾向にあるようです。

特に女性の専門職学位過程、博士課程の社会人学生割合が増加しており、この点は良い傾向と言えますね。

社会人の学びへの支援は不十分?

令和4年度 年次経済財政報告

企業による自社社員のOFF-JTや自己啓発支援への支出額はほぼ横ばい傾向です。

特にコロナ禍に入った20年以降は減少していることが見て取れますね。

ニーズが高まっている中で供給自体は全然行われていないというのが日本企業の実情のようですね。

一方、政府においては在職者や求職者、企業を支援するための様々な教育訓練制度や人材開発支援制度自体は整備されてきています。

令和4年度 年次経済財政報告

私自身、知らなかったのですが思ったよりもいろいろとサポートしてもらえるものがあるようです。

活用実績を見てみると、一定数は活用されているようですが、報告書によると公共職業訓練の実績は伸び悩んでいるとのことです。

先程ニーズは増えているが、供給は不十分と伝えましたが、実際は供給自体が不足していることではなく他に問題があるということのようです。

新型コロナウイルスの影響もあったようですので、これからに期待ですね。

規模の小さい企業ほど人的資本形成の機会を提供する割合が低い

令和4年度 年次経済財政報告

企業規模別の人的資本形成の動向についてもまとまっています。

規模の小さい企業の労働者ほど、職種に特有の実践的スキル向上ニーズが高い一方で、規模の小さい企業ほど労働者の自己啓発支援を行っていない割合が高く、OJTやOFF-JTの実施割合が低いことから、これらによる人的資本形成の機会提供が十分になされていないこともみてとれる。

令和4年度 年次経済財政報告

以上のように評価をしています。

同一企業内で自己啓発支援が出来ている人と出来ていない人がいるということはないと思います。

そのため自己啓発支援を全く出来ていない企業が規模が小さな企業ほど多いということになりますね。

逆に常用労働者が1,000人以上いるような大きな企業でも「職種に特有の実践的スキルを向上させたい」と回答した人の割合が大きいと感じます。

自己啓発支援はできているのに上記のような人の割合が多いというのはなぜか気になりますね。

続いて、OJTとOFF-JTの実施状況についてです。

令和4年度 年次経済財政報告

見事に規模の大きさが物語っていますね。

また新型コロナウイルスの影響を受けた2020年については実施率が極端に落ちていますね。

いまはどのような状況にあるかが気になります。

学び直しを阻害する壁とは?

政府が求めるほど学び直しが進んでいないという実情があります。

学びを阻害しているどんなものがあるのでしょうか?
企業側と労働者側で分けて見ていきます!

企業側の阻害要因
  • 指導する人材が不足している
  • 人材育成を行う時間がない
  • 人材を育成しても辞めてしまう
  • 鍛えがいのある人材が集まらない
  • 育成を行うための金銭的余裕がない
  • 適切な教育訓練機関がない
  • 人材育成の方法がわからない
  • 技術革新や業務変更が頻繁なため、人材育成が無駄になる
労働者側の阻害要因
  • 仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない
  • 費用がかかりすぎる
  • 家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない
  • どのようなコースが自分の目指すキャリアに適切なのかわからない
  • 自分の目指すべきキャリアがわからない
  • 自己啓発の結果が社内で評価されない
  • 適当な教育訓練機関が見つからない
  • コース等の情報が得にくい
  • コース受講や資格取得の効果が定かでない

以上が学びの阻害要因となっています。

実際に時間的な問題で考えると、就業時間が減少した者ほど自己啓発を開始している傾向が表れており、リスキリングというよりはリカレント教育を選択し、自ら学ぶことを選択している人が多いようです。

処遇改善や年収増加に結び付く学び直しは一部にとどまる

ここからがこの記事の本題になりますが、実際に学んだ者には処遇やキャリアの変化がみられるのでしょうか?

学び直し後の処遇やキャリア上でのプラス面の変化として以下のようにまとめられています。

  1. 新たな人脈が築けた
  2. 希望の仕事に転職した
  3. 年収が増加した
  4. 副業を始めた
  5. 在籍企業での業務の質が向上した・業績をあげた
  6. 昇進した
  7. 在籍企業で希望の異動をした・希望の仕事を獲得した
  8. 独立・起業した

大学等で学んだ者の2割程度が希望の仕事への転職し、2割弱の人が年収が増加するなど、学び直しで成果を上げている人が一定数います。

その一方で、業績向上、昇進、希望部署への異動に結び付いている割合は1割を下回っているようですね。

OFF-JTや自己啓発の継続できる人ほど年収は高い?

また「令和4年度 年次経済財政報告」ではOFF-JTや自己啓発の継続の有無と年収について以下のようにまとめています。

2017年以降も同一企業で就業している者について、2017年以降のOFF-JTや自己啓発の継続実施の有無と年収の動向をみると、正規・非正規問ず、OFF-JTや自己啓発を実施している者ほど、継続して年収は高い。

令和4年度 年次経済財政報告

新型コロナウイルスの影響を受けて伸び悩みはありましたが、正規・非正規に関わらず緩やかに右肩上がりしていました。

何もしない(できていない)人ほど年収が低く、積極的に動けている人ほど年収が高いということですね。

先程、規模の大きい会社ほどOFF-JTなどを提供できていると記載しました。規模の大きい会社ほど年収は高いためその影響を受けている可能性もありますね。

ですので同一企業内での経年変化を見ていきます!

継続的なリスキリング(OFF-JTなど)で年収7%アップ?

さてここでタイトルまで来ることができました。笑

実際に7%アップなんてするのか?ですよね!

ここでの調査では、正規雇用と非正規雇用に分けて「OFF-JT(リスキリング)のみを実施した場合」と「自己啓発のみを実施した場合(リカレント)」、「OFF-JT、自己啓発をともに(総合的な学び直し)実施した場合」の3つの観点で行われています。

以下のグラフはについてですが、効果はいずれも何も実施しなかった場合との比較してとなります。

令和4年度 年次経済財政報告

まずOFF-JTのみを実施した場合です。

正規雇用の場合、効果は2.3年後に現れているのに対し、非正規雇用については実施1年目から増加傾向が現れています。

正規雇用については、3年目が最も大きな効果を生み出していて大体6%くらい上昇していますね!

この点について「令和4年度 年次経済財政報告」では

OFF-JTを提供する企業が労働者に対し、即戦力としての活躍を期待し、学習機会を提供していることが考えられる。

令和4年度 年次経済財政報告

と記載しています。

その企業で活躍できるようなプログラム、内容を企業側から提供してくれるので効果に繋がりやすいということですね!

令和4年度 年次経済財政報告

一方、自ら行う自己啓発についてです。

非正規雇用では年収アップがあるようですが、正規雇用については年収アップの効果は見られませんでした。

全く意味がないということではないと思いますが、よくある自己啓発本を読むだけだと効果は薄いということでしょうか?

令和4年度 年次経済財政報告

最後に両方を行っている場合です。

正規雇用者では継続的に、非正規雇用者においては実施2~3年目に年収アップが実現している傾向がみられますね。

正規雇用の3年目には7%ほど上昇していることが見て取れます♪

この3つの結果を比較するとOFF-JT(リスキリング)を伴う学び直しが年収アップに繋がっていると考えられそうです。

年収アップの鍵はリスキリング

転職や独立を除いて、いまの企業内で年収をアップさせるにはリスキリングが必要なようです。

自己啓発のみで年収増を実現することは難しい一方、リスキリングを行っている人が自己啓発を行っている場合には相乗効果が生まれているようです。

この点について「令和4年度 年次経済財政報告」は

OFF-JTでは企業がその内容や時期を計画し、労働者の評価や処遇に反映しやすいのに対し、自己啓発は企業の求める内容と必ずしも適合しているとは限らず評価が難しいことが背景にあると考えられる。

令和4年度 年次経済財政報告

自己啓発は自分のやりたいことによっていきますから仕方ないのかもしれませんね。

また転職や独立を目指している人もいますのでその人のキャリア全体でみたときには効果はありそうです!

まとめ

以前もリスキリングについてご紹介しましたが、リスキリングの効果はやはり高そうです。

いまは転職ネイティブや副業時代なんかと言われていますが、その企業内で時代の変化に合わせて働き方を変えていくことができたら最高ですよね?

そう考えると、企業側が先を見据えて中長期的に業務に必要な物事を明確にし、プログラムとして雇用者にもわかりやすく取り組みやすくなることが重要そうです。

特に人材不足などもこれから深刻化していく中では目の前のことに囚われていたら厳しそうですよね…。

私もこの内容を見て、色々と調べたいと思います!

それではここまでです。
最後まで見ていただきありがとうございました!

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